2017年11月21日(火) 22:46 JST

地主を悩ます「借地の空き家問題」

50年以上前に土地を借り、家を建てて住んでおられました。その方が2年前に亡くなり、それから空き家となっています。
もともと古い建物で、2年間放置され、危険な状態です。地主としてもご近所の迷惑となっている。
 現在の土地の所有者も相続で変わりAさんです。地代は、その方が亡くなられてから一切振り込まれていません。建物の持ち主のお子さんも、「相続放棄したので自由にしてください」と言われています。

【地主としての考え方】
 長期に渡る人口減少時代に突入し、空き家の放置問題は、すでに社会的な大問題になっています。所有者がどこに居るのか分からない、当事者も所有者としての自覚がないことが、放置に拍車をかけているのも事実です。

 さて、地主として何ができるか考えてみましょう。

 まず正論から言えば、賃借人の各相続人の法定相続分にしたがって地代を請求できます。仮に、地代が2万円で、相続人が2名の場合、それぞれの相続人に1万円ずつ請求できます。

 また、地代よりも建物を撤去して更地で返してもらうことを選択したいなら、1年以上も地代が払われていないことを理由に土地の賃貸借契約を解除して、「建物収去土地明渡請求」ができます。話し合いで解決しない場合は、裁判所に訴訟を起こすこともできます。長期に渡る地代の不払いの事実があれば、裁判になっても勝訴できる確率は高いでしょう。ただし、勝訴判決が出ても、相手が素直に判決に従うかは分からず、従わない場合は、判決に基づく強制執行手続きがさらに必要です。

 相続人が本当に相続放棄をしていれば相続人(被告)に当たらず、訴訟ができないことになります。その場合は「地主が建物収去費用を負担するだけで土地の完全な所有権が返ってくる」という考え方をして、地主側で建物を収去することも考えられます。

 借地権は土地の所有権と同等に強い権利であり、土地価格の5割以上の評価価値があります。もし地主の意向で建物所有者に立ち退いてもらうとすれば、借地権を一定の評価額で買い取らなければいけないところですが、今回は相手の相続放棄または契約上の解除により相手が借地権を放棄したことで、借地権を買い取る費用が助かったと考えることもできます。

 事案によって考え方や手続方法も変わりますので、詳しいことは不動産所有問題に詳しい法律家に相談してみましょう。